albatros blog

広田修の書評とエッセイ

エッセイ

堀江敏幸『坂を見上げて』

坂を見あげて (単行本) 作者:堀江 敏幸 中央公論新社 Amazon 堀江敏幸のエッセイは初めて読んだが、かなり快楽に満ちた極上のエッセイである。堀江がいかに知性と感性に満ち、教養にあふれる知識人であるかがわかる。日常風景の詩的一面を切り取ってきたり、…

呼吸

さて、今日は妻が子を連れて実家に行く用事があり、そのつかの間私は近くのラーメン屋に行ってきました。ラーメンを注文してのんびり待っていると、急に自分の呼吸に意識が向かいました。自分は今まったく自由に呼吸している。仕事からも子育てからも趣味か…

病休は連鎖する

さて、今私は病休者のいる係で働いています。メンタル不調というのは連鎖します。というのも、職員がメンタル不調を起こしやすい部署というのは、そもそも業務が心に大きな負荷をかける部類のものであることが多いです。そして、一人が耐えられずに不調に陥…

燃え殻『断片的回顧録』

断片的回顧録 作者:燃え殻 アタシ社 Amazon 燃え殻の、つぶやきやエッセイや物語を集めた人生の回顧録。基本的に弱者の悲しみを書いている。傷ついた人間、感じすぎてしまう人間の悲哀をつらつらとしたためている。そこに感性の鋭いひらめきがあり、はっとさ…

科学的に働く

私はなぜ朝残業するのか?それはそうすることにより残業の総量を減らせるからです。どうせ忙しくて残業しなければいけないのなら、絶対朝やるべきです。なぜなら朝は人間の一日において最も効率的で創造的な時間だからです。これは科学的な研究に基づいてい…

燃え殻『夢に迷って、タクシーを呼んだ』

夢に迷って、タクシーを呼んだ 作者:燃え殻 扶桑社 Amazon 燃え殻氏の雑誌連載エッセイ集第二弾である。著者は、基本的に「負け」の姿勢を貫いている。この世の中では傷つける側ではなくいつでも傷つく側人間である。そして、他人が傷つくことにも敏感で、他…

花田菜々子『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』

シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと 作者:花田菜々子 発売日: 2020/03/18 メディア: 単行本 この本はエッセイと自伝的小説の中間の体裁をとっている。ところどころフィクションも混じり、読み物…

燃え殻『すべて忘れてしまうから』

すべて忘れてしまうから 作者:燃え殻 発売日: 2020/07/29 メディア: Kindle版 エッセイ集。すべて忘れてしまうから、忘れないうちに書き留めておこうという姿勢では書かれていない。むしろ、すべて忘れてしまっても別に構わない、それでも物語りたい欲動に突…

堀江敏幸『郊外へ』

郊外へ (白水Uブックス―エッセイの小径) 作者:堀江 敏幸 発売日: 2000/07/01 メディア: 単行本 フランスの小説を紹介しながら、それをフランスの風物の中に溶け込ませていくという一種独特のエッセイ。書物を取り上げながらもそれを批評するというわけではな…

困った同僚

一緒に仕事をして楽しい人と、逆に一緒に仕事をするとストレスばかりたまる人がいますよね。一緒に仕事をしたくない人を挙げてみましょう。 ・仕事が嫌いな人 これは決定的ですよね。仕事をいやいやながらやっている人と一緒に仕事をしているとこちらまで楽…

精神論ではなく

労働については数多くの科学的な研究がなされています。これからのマネージャーに期待されるのは労働の現場を「やる気」「責任」といった精神論でごまかそうとすることではなく、いかに貪欲に科学的な研究の成果を取り入れて合理的にマネッジしていくかとい…

ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』

べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス) 作者:ジュンパ ラヒリ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/09/30 メディア: ペーパーバック 英語で小説を書き多くの賞を受賞した作者が、イタリア語に魅せられてイタリア語を勉強し、イタリア語で書いた、イタリア…

充実した土曜日

昨日はとても充実していました。午前中は図書館に行って本を返し、その足で近くの魚屋へ。魚屋では一周年記念の特売をやっていて、長蛇の列ができていました。とにかく安く、鯛やホッケ、寿司を買ってきました。この寿司が非常に質の高いもので、本来なら2…

柳田邦男『妻についた三つの大ウソ』

妻についた三つの大ウソ (新潮文庫) 作者:柳田 邦男 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1993/04 メディア: 文庫 航空機事故や医療技術のノンフィクションで知られる柳田邦男のプライベート・エッセイ集。本エッセイは、一つ一つがそれぞれ一つの記事のように…

柴田元幸『生半可な学者』

生半可な学者―エッセイの小径 (白水Uブックス) 作者:柴田 元幸 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 1996/03/01 メディア: 新書 本書は、筆のおもむくままに翻訳にかかわる雑学的知識を披露してくれる。話題は音楽や映画、小説など多岐に及び、英単語や英語の言…

別役実『満ち足りた人生』

満ち足りた人生 (白水Uブックス―エッセイの小径) 作者:別役 実 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2001/08 メディア: 単行本 本書で別役は、誕生から葬式に至るまで人生の諸事について一席講じている。それぞれの項において前提や論理がおかしく、全般的に「…

村田沙耶香『私が食べた本』

私が食べた本 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本書は村田が雑誌などに掲載した書評と主に芥川賞受賞近辺のエッセイを収めている。村田の書評の書き方は、印象批評の一種で…

はあちゅう『旦那観察日記』

旦那観察日記?AV男優との新婚生活? 作者: はあちゅう 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス 発売日: 2019/02/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る ブロガー・作家とAV俳優とのなれそめ、結婚、新婚生活について主に妻の立場…

矢部太郎『大家さんと僕 これから』

大家さんと僕 これから 作者: 矢部太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/07/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 芸人の漫画らしく、ボケと突っ込みというお笑いのロジックが堅持されている。僕が暮らす下宿の大家さんは…