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広田修の書評とエッセイ

ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』

 

べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス)

べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者:ジュンパ ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: ペーパーバック
 

  英語で小説を書き多くの賞を受賞した作者が、イタリア語に魅せられてイタリア語を勉強し、イタリア語で書いた、イタリア語で書くことに関するエッセイ集。辞書を頻繁に引いていた初心者のころから、徐々に話したり書いたりできるようになるまでを克明に描いている。また、単純にイタリア語の学習の進展について書いているのではなく、イタリア語への感情的な執着や、英語への複雑な感情、また母語であるベンガル語を交えた三角関係、そういったものに関する心の綾を繊細に描いている。

 まず、英語作家として確固たる地位を築いたうえで新しい言語に挑戦するというのがすごい。それについて反対する知人も多くいたようだ。だが、新しい言語は新しい人生を生み出す。人生を日々更新していくこと、それも言語を通じて、というのはまさに作家の本分ではないだろうか。この試み自体に戦慄を感じるが、そこで生み出されるテクストの厳密さも素晴らしい。

外出しない三連休

 さて、三連休ですが、当初出かける予定があったものの例のウィルスのことを考えて出かけるのは控えることにしました。本を読んだり映画を観たりという連休にしたいと思っています。

 詩集の原稿を編集者に送りました。新詩集、そのうち出来上がります。

 私は今年高い確率で異動なしです。来年は同じ業務二年目となります。さすがに二年目なのでガンガン飛ばしていきたいですね。一年目はわからないことばかりでいろいろ悔しい思いをしました。二年目は挽回したい。

バレンタインデー

 バレンタインデーは、仕事で監査的なものを受けたので疲れていました。家に帰ると妻がブラウニーを作ってくれていて、おいしくいただき、夕ご飯にはウナギを食べました。とても癒されました。妻には感謝の日々です。

 ホワイトデーはどのようなお返しが良いか考えています。春のコートをプレゼントするのが一番いいように思うのですが。

 最近図書館から詩集を借りてきて読んでいます。詩集は高いから図書館の存在はありがたいですね。そんなに品ぞろえがいいわけではありませんが、結構寄贈を受けたものとかもあり、それなりに楽しんでいます。

三角みづ紀『隣人のいない部屋』

 

隣人のいない部屋

隣人のいない部屋

 

  本詩集に充満しているのは人間の執着心のようなものだと思う。三角は間柄に依存し、病に依存している。この依存心や執着心が人間の業を表しているようで、とても生臭い詩集が出来上がっていると思う。ひたすら人間の匂いがする、そういう詩集だ。だから記述も透明なようでとても濁っている。

 三角にとって隣人は居てほしい存在だし居て当たり前な存在だ。だからこそ隣人がいないことが特別なこととして詩集のタイトルとなっている。隣人にどこまでも依存していくこと、そして滅びの予感の中に耽溺していくこと、そういう世界が展開されていて、幾分閉鎖的な詩集となっている。だが、閉鎖的であるからこそそこに住まう人間はとても人間の匂いがするのである。

アーサー・ビナード『左右の安全』

 

左右の安全

左右の安全

 

  この詩集は、生活の中でふと感じられる感慨深いものをエッセイ風に書き留めたものを集めている。著者はアメリカ人であるが、この詩集に現れているのは日本風のわび・さびといった幽かな趣深さである。我々読者はこの詩集を読んでその淡い抒情に共感する。奇抜なものなど何もなく、ただ淡々と生活の感慨深さがつづられている。

 アメリカ風の無駄を排したプラグマティックな文体に、日本の精神であるところの幽玄の抒情が加わって出来上がった詩集のように思える。アメリカと日本という二つの精神風土が融合してできあがった面白い詩集だ。共感に訴える詩集というものは勢い陳腐になりがちだが、この詩集は生活の中の微妙な感慨を扱っているため、陳腐になることから免れている。

今年度も残りわずか

 さて、もう2月中旬になりました。今年度も残りわずかです。私は今年異動になるかどうかわかりませんが、異動になってもいいように今の仕事を次の人にきれいにバトンタッチできるくらい整理しておきたいです。やれることはすべてやっておくということですね。ラストスパートです。

 節分には恵方巻を食べたりしました。バレンタインデー、ホワイトデーと続きますが、今年のホワイトデーはどうしようかと思っています。やはり食事かな。あと旅行をいつしようか、どこへ行こうか、とか。

 作品もどんどん書いていきたい。

斉藤倫『さよなら、柩』

 

さよなら、柩

さよなら、柩

  • 作者:斉藤 倫
  • 出版社/メーカー: 思潮社 密林社
  • 発売日: 2014/07/30
  • メディア: 単行本
 

  斉藤の本詩集はウィットやユーモアに満ちているのだが、それよりも大事なのはこの詩集が愛に満ちているということだろう。斉藤は決して愛に飢えている孤独な人間ではない。むしろ愛し愛されることを熟知している人間だろう。そうすると、彼のユーモアも恋人の前でふざけているかのような様相を帯びるし、彼のウィットも恋人との会話で使われるウィットのように愛に満ちたものに見えてくる。

 斉藤の本詩集は、読むと心が充満するかのような感覚があり、それは本詩集が愛で充満しているからだろう。満たされているがゆえの自信や幸福、そういうものが詩の位相を変えている。これは大人のための詩集なのだ。愛し愛されることを熟知した成熟した大人のための詩集なのだと思う。孤独な病める魂ではなく、愛する満たされた魂による抒情という転換が見られる。