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広田修の書評とエッセイ

精神論ではなく

 労働については数多くの科学的な研究がなされています。これからのマネージャーに期待されるのは労働の現場を「やる気」「責任」といった精神論でごまかそうとすることではなく、いかに貪欲に科学的な研究の成果を取り入れて合理的にマネッジしていくかということにほかなりません。精神論はチームにストレスを与える割にはチームの効率を上げません。それよりもいかにチームのストレスを低減してチームの成果を上げるかを考える必要があります。それが科学的な知見なのです。

 チームの生産性を挙げるには知識とスキルのシェアが必要です。そのためには常にわからないことを迅速にきけるようにする風通しのよさが必要です。最近よく言われている「心理的安全性」というものはこのことに関わってきます。心理的安全性とは、チームのメンバーが安心して仕事ができるということであり、チームのメンバーが自由に意見を言い合えるということです。この心理的安全性が高いチームほど生産性が高いという研究が出ています。心理的安全性が高いとわからないことも聞きやすいですし、ハラスメントも起きません。ここで大事なのはマネージャーもチームのメンバーも抑圧的に振舞わないということです。楽しく、緩く、気軽な雰囲気を作ることが結局はチームの生産性を挙げるのです。

 また、メンバー間での業務の平準化も重要です。これは昨今の働き方改革で盛んに言われていることなのですが、残業は仕事が集中している人に生じます。一方で、仕事がそれほど多くなく時間を持て余している人もいます。仕事が集中している人から時間を持て余している人に仕事をシェアすることにより残業を減らすことができるのはあまりにも明らかです。残業は健康に悪影響を及ぼし、プライベートな生活の時間を奪います。残業=悪と考えて構いません。いかに残業を減らすか考えたとき、無駄な仕事をなくし、仕事を効率化し、仕事をシェアしていくことが求められます。

 精神論で動く組織は生産性を上げることができない一方、科学的で合理的に動く組織はどんどん生産性を上げて新しいアイディアを生み出していきます。こんなことは今や当たり前すぎることなのです。