ヒロインは子供のころおばから日記帳を渡される。ヒロインが大学を卒業してから旅行などする合間にその日記帳の中身を回顧するというお話。日記を書くという行為は内省をする行為であり、人生を丁寧に生きる行為だと思う。それだけでなく、気持ちを整理したり、愚痴を吐き出したり、精神衛生上も望ましい。そして、日記を書くという内省は文学の最低限の機能に接続していくだろう。世界について何らかの立ち位置を持つということ、それを日記は可能にする。
おばが日記帳を渡すことでヒロインに課した「最高の任務」とは何か。日記を書くことの背後に隠された秘密の任務。それについては読む者がいろいろと解釈すればいいので、特に正解はないだろう。だが私としては、先に述べた内省を通じて人生を俯瞰的に生きること、場当たりではなく思慮深く生きることなのではないかと思う。文学について造詣の深いおばは、姪に対してそのような任務を課したように思える。