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広田修の書評とエッセイ

今村夏子『星の子』

 

星の子

星の子

 

 ヒロインは一風変わった女の子で、どこか周りから冷淡に扱われている。また、両親が宗教に入っていることもあり、それも周りから疎外される原因になっている。ヒロインは中心というよりは周縁で生きる存在である。学校の周縁、親族の周縁、そういった様々な周縁が折り重なるところで生きている。だがそれでありながらヒロインには普通に友達がいたりして、首の皮一枚で周囲とつながっている。

 ところで、このような周縁的存在として人間を捉えると、どんなに学校の人気者であっても何らかの周縁にいることが分かる。例えばこの小説に出てくる人気者の先生であっても、教頭からはよく思われていなかったり、皆が皆それぞれの周縁を生きていることが分かる。人間は必然的に何らかの意味で周縁的存在であり、それでありながら中心ともどこかでつながっている。