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広田修の書評とエッセイ

平田俊子『詩七日』(思潮社)

 詩がユーモアを生み出しているのではない。ユーモアが詩を書いているのだ。本作を読んでまずそう思った。平田には、ユーモアがミューズとして降りてきており、ユーモアがこの作品を書いているのである。ユーモアは神の中では悠長で機知に富み、それでいながらいつも微笑みを浮かべている神であり、鋭い批評精神で生活の中にある面白いことを抉り出してくる。

 ユーモアが詩神として平田に降りてきてこの詩集が出来上がった。ユーモアは勤勉とは程遠いが、人が傷つくことには敏感である。人が傷つくような場合にはすぐさま飛んできて、その出来事をユーモアに変えて人が傷つくことを防ぐ。平田はユーモアという神を降ろすだけの素質のある巫女だったのだと思う。