若い世代の詩集を読むのは新鮮だ。我々旧世代とは異なるマインドセットで書かれているからだ。我々旧世代は、自らの根拠を固めるために大きな物語を必要とした。それは一言でいえば教養であり思想だった。だが、今の世代はもはや大きな物語を必要としない。それは、精神が高いレベルで安定しているからであろう。今の世代は、それこそこの詩集に出てくる「コーヒーと食パン」のような、生活的で、断片的なものに自らの存在を打たせている。我々旧世代は、強固で不動の自我を求めた。だが、若い世代の自我というものは、そういう些細な物語により、あたかも風船が地に落ちないように静かに下から叩くかのように、浮動させられているのである。我々旧世代は、結局空虚を恐れていたのだ。だが、若い世代は空虚と共存しているし、空虚にすら支えられている。非常に刺激を受けた。面白い詩集だった。