albatros blog

広田修の書評とエッセイ

武田泰淳『わが子キリスト』

 

わが子キリスト (講談社文芸文庫)

わが子キリスト (講談社文芸文庫)

 

  本書で武田は聖書に思い切った解釈を施している。キリストには実父がおり、それはローマ兵であり、そのローマ兵がキリストの伝説を作り上げるのに大きな役割を果たしている、という解釈である。

 思うに、解釈には「意味の解釈」と「存在の解釈」がある。意味の解釈は言葉の意味についての解釈であるが、存在の解釈はある存在があるかないかという解釈である。そして、存在の解釈によってそれまで存在しないとされていたものが存在すると解釈されると、そこでは当然その新しい存在と他の存在の取り結ぶ新たな関係性が浮かび上がり、同時に意味の解釈も迫られる。

 本書では、キリストをマリアに孕ませたローマ兵の存在が解釈によって付与されることにより、そのローマ兵と様々な登場人物との関係が大胆に作り出され、聖書の様々なエピソードの意味合いがドラスティックに変化している。新しい解釈を提示する際、存在の解釈を用いるのはなかなか賢い方法なのかもしれない。

コーヒー依存からの脱却

 さて、私は長いことカフェイン依存だったのですが、今は朝一杯コーヒーを飲むだけで、あとはお茶をちびちび飲むだけとなっています。カフェインを減らしてだいたい6日目となりますが、途中頭が痛くなったり何となく辛かったりやる気が出なかったりしましたが、だいぶカフェインは抜けたように思います。今では朝一杯のコーヒーすらも飲む気がなくなってきました。

 カフェイン依存のときはとにかく焦燥感があったような気がします。あと脈拍が早かった。最近は挙動に余裕が出てきて、おそらく頻脈も少しずつ解消されるのではないでしょうか。

 コーヒーはカフェインだけでなく、お金もかかるし、砂糖も入っているし、良いことは全然ないです。ここでコーヒー依存から脱却して、節約し、糖分摂取を減らし、寝つきをよくしていきたいです。コーヒーという薬物に依存していました。

柳田邦男『妻についた三つの大ウソ』

 

妻についた三つの大ウソ (新潮文庫)

妻についた三つの大ウソ (新潮文庫)

  • 作者:柳田 邦男
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/04
  • メディア: 文庫
 

  航空機事故や医療技術のノンフィクションで知られる柳田邦男のプライベート・エッセイ集。本エッセイは、一つ一つがそれぞれ一つの記事のように構成されていて、そこにはドラマがあり結論があり論理がある。エッセイには作家の文体が如実に表れるものであるが、柳田のノンフィクション作家としての文体が私生活のエッセイにも顕著に表れているのが分かる。

 何気ない日々のあれこれや、障碍者についてのノンフィクション的エッセイ、人生への深い洞察など、エッセイのテーマは多岐にわたるが、なかでも「人生の復習」は優れたエッセイだと思った。音楽というものが自分の人生の出来事と分かちがたく結びついていることをこれほど的確な言葉で表現したものはめずらしい。表題にある「妻についた三つの大ウソ」はなかなかほほえましい話だった。 

カフェイン断ち

 最近寝つきが悪いんです。で、原因は明らかにコーヒーの飲み過ぎなんです。コーヒーを一日缶で4杯分くらいずっと飲んでいました。それでカフェイン断ちしようと思い立ち、昨日からコーヒーを一杯しか飲まなくなりました。そしたら今日はその離脱症状のせいか具合が悪くなって午後お休みしました。初めのうちは一気に減らさず、段階的に減らしていくといいようです。しかし、いまさらながらこのカフェイン依存からは早く脱却したいです。生活の邪魔になるくらいならコーヒーは飲まなくてよろしい。上手に量減らしながら寝つきを回復していきたいです。

最近の読書傾向

 私も昔と比べて随分読書傾向が変わったな、と思います。ちょっと前までは、新書も格式の高いもの、岩波・中公ばかり読んでいたのですが、今では文春・角川・新潮などなど、様々なレーベルから良書を選んで読むように変わってきました。もちろん、新書は当たりはずれがかなりあるので、そのあたりの選書は厳密に行っています。

 小説も、以前に比べて現代小説や海外小説の割合が増えました。以前は日本の古典ばかり読んでいたのですが、だいぶ読書の幅が広がったように思います。また、詩も偏見なくいろんな詩人の詩を等しく読むようになってきました。

 あと、いちばん大きな変化としては、エッセイやノンフィクションも読むようになったことが挙げられます。昔はエッセイやノンフィクションを忌避していたのですが、最近はむしろそっちの方が面白いみたいな感じです。

 学術書もぼちぼち読んでいますが、まずは新書から入門というのが私の基本的なスタンスです。あと、経営学やビジネスの本をよく読むようになりましたね。自分が今直面している労働という問題をどこまでも考えていきたいです。

柴田元幸『生半可な学者』

 

生半可な学者―エッセイの小径 (白水Uブックス)

生半可な学者―エッセイの小径 (白水Uブックス)

 

  本書は、筆のおもむくままに翻訳にかかわる雑学的知識を披露してくれる。話題は音楽や映画、小説など多岐に及び、英単語や英語の言い回しに関するちょっとしたティップスに加え、そこから気ままに連想されたウィットに富んだユーモアが示される。

 エッセイの中では飛躍が多い部類ではないだろうか。翻訳にまつわるティップスを語る際や、そこからあれこれと連想する際、柴田はなかなか大胆な飛躍的展開を行う。そこに柴田の学者としての知性があるのだろうが、このエッセイの面白さの肝をなすのもその機転の利いた大胆な飛躍なのだと思う。

 別に本書に現れる知識を覚える必要はないと思うが、翻訳者・学者としての柴田元幸の脳の中にある百科事典の中に紛れ込んでしまった、その快楽を楽しむ本だと思う。

三連休

 いやー、三連休いいっすね。なんか家庭を持ってから土日も忙しく、独身の頃みたいにゴロゴロして終わったとか寝て終わったとかそういうことが少なくなりましたので、どうもあまり休めている感じがしない。このようにリアルが充実している生活に体がまだ十分になれていないのでしょう。

 そんなときに三連休はありがたい!土日は用事でつぶれても、三日目はすごくゴロゴロできます。それにしてもやっぱり結婚してから年休を取る日数が増えた気がします。もちろん毎年20日フルで使うことはこれからの労使の目標だとは思うのですが、多少は余裕をもって年休を残したいですね。ということで、今年は年休を多少残す形にしたいと思います。結婚生活も慣れてきたので可能でしょう。

 それにしてもいろいろ詩とかコラムとか書きたいな。