albatros blog

広田修の書評とエッセイ

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

高山羽根子『居た場所』

居た場所 作者: 高山羽根子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/01/17 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本小説を読んでいると、我々がいかに不安を忘却して生きているかわかる。本来私たちは、自分が何者であるかとか、自分がどこに住…

夫婦は大変

これまで割と結婚の良い面ばかり書いてきたように思うが、もちろん結婚には苦労する面も多々ある。 まず、お互いの生活ルールが違うため、そのすり合わせに気を遣う。整理整頓など割と細かいところにおいてお互いの感覚が違うため、ルールを統一しないと互い…

町屋良平『1R1分34秒』

第160回芥川賞受賞 1R1分34秒 作者: 町屋良平 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 年若いプロボクサーの奮闘記。ボクシングというと体を動かす要素が大きいため、ここまで文字にする要素があったんだ…

ヘルタ・ミュラー『狙われたキツネ』

狙われたキツネ 新装版 作者: ヘルタ・ミュラー,山本浩司 出版社/メーカー: 三修社 発売日: 2009/11/14 メディア: ハードカバー クリック: 14回 この商品を含むブログ (16件) を見る 本作品はチャウシェスク独裁政権下のルーマニアでの生活を描いたものであ…

夏が来た

今年も夏がやってきた。私は夏が苦手である。というのも夏は体力を消耗する季節であり、昔はよく夏風邪を引いたし、最近は夏バテをするようになった。夏は暑さに疲労する季節であり、私がいつも心掛けている疲労のマネジメントの真価が問われるときである。 …

中村武羅夫『現代文士廿八人』

現代文士廿八人 (講談社文芸文庫) 作者: 中村武羅夫 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/06/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 明治時代、名だたる文学者の家を訪問して話を聞き、その文学者から受けた第一印象でもってその文学者の人…

新しい仕事3か月

人事異動で違う部署に来て3か月が経った。今度の部署は幾分特殊な部署であり、慣れるまで時間がかかっている。今度の部署はデータ整理、データ処理に相当の時間を費やす部署であり、今までこのような仕事を経験していなかった分、ペースをつかむのに手間取…

町屋良平『しき』

しき 作者: 町屋良平 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/07/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 少年時代において、人間は確固たるカテゴリーを持たない。少年時代、人々は皮膚感覚が混乱していて、出来事を整理する理論が備…