albatros blog

広田修の書評とエッセイ

2022-08-02から1日間の記事一覧

町屋良平『ふたりでちょうど200%』

ふたりでちょうど200% 作者:町屋良平 河出書房新社 Amazon 二人の若者のストーリーがどんどん変奏されていく音楽的な作品だ。ライトモチーフはいくつかあるが、それがそれぞれの編ごとに変奏されていき、変奏曲のような音楽的な構造を作り出す。この小説につ…

川上未映子『夏物語』

夏物語 (文春文庫) 作者:川上 未映子 文藝春秋 Amazon 無駄のない筆致で描かれた人生の詩情を感じさせる作品だった。現代日本の停滞して閉塞している状況の中で、みんな不幸ながらにひそやかに生きている。そのひそやかな生きざまに宿る美しさ、切なさ、そう…