脱魔術化が完了したかのように思える現代世界の中で、それでも呪術的な部分を太古から連綿と継承していることを示しているように思える。人と馬とのかかわりを、太古から現代にいたるまでたどっていく中で、現代の装いをしている社会の中で、次々と呪術的な出来事が起こっていく。
「乗れ」という原始の呼び声、主人公の馬に関する情報を脳内でキャッチする特異な能力、知り合いの女性の占い師のような洞察力、そういうものの中に、呪術的なものが見え隠れし、この脱魔術化し科学化した現代社会の装いの中に、根源的に含まれている呪術的なものが明らかにされていく。とても興味深く面白い作品である。
