本書は、東アフリカの文化や歴史、人々の思想や生活を伝えてくる淡々とした小説である。日本とは大幅に異なるその社会の構造や人々の振る舞いについていろいろと学ぶところの多い本である。作品の完成度もさることながら、このような異文化の生活について語る小説はとても貴重である。
人類学や社会学の記述する異文化は科学的で無味乾燥である。それに比べて、小説で生きられた人生が記述されると、異文化は活き活きとしてくる。異文化がまさに生きられたものとしてこちらも追体験することができる。小説の形式としての強みが、異文化理解の文脈でも発揮されるのである。
