政府と人民との争いが、ものすごく精緻に描かれている。この記述の密度は圧倒的であり、権力側と人民側が軋轢を起こすだけでものすごくたくさんの出来事が起こるということがありありと伝わってくる。確かに現代日本は人民が強い世の中だが、世界ではまだ権力側が強い社会もある。日本もかつてはこのような政府と人民の間の仁義なき戦いが繰り広げられていたのだ。
サラマーゴはとにかく文体に密度と強度がある。それと、微細な権力機構の動きについての類まれなる想像力がある。だから、読んでいてとても重厚さを感じるし、すべての動きに厚みを感じる。この文体の強度、社会というものの精緻な認識、それがとても優れた社会派の文学作品を生んでいる。素晴らしい。
