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広田修の書評とエッセイ

高瀬隼子『新しい恋愛』(講談社)

 非定型な恋愛をつづった作品集。だが、実際にはこのような、相思相愛にきれいに落ち着かない非定型な恋愛の方が多いのかもしれない。バレンタインデーにチョコをもらうだけの関係とか、親しくしていた相手が急に仕事を辞めてしまうとか。表題作は、マッチングではなく心の底からの愛情が尊いとする教育がなされている近未来についての作品だ。すべて、典型的な恋愛への懐疑というか、それだけではないぞという異議申し立てをしているような感じがする。

 だが、典型的な恋愛への異議申し立ては、多様な恋愛の在り方を提示することに役立っている。実際の恋愛は多様である。むしろそちらの方が現実味がある。典型的なラブストーリーはむしろ理想形なのかもしれない。恋愛の現実を突き付けてくる作品だ。