中林の本作は、読み手のネガティブケイパビリティを惹起する魅力のある作品だと思う。芸術作品はその創作の局面だけではなく、受容の局面においてもネガティブケイパビリティが発揮されるものである。鑑賞者は作品を受容するにあたって、すぐに結論を出さずに、充分玩味し、あれやこれやと作品の解釈を宙づりにして、そこにおける作品の未決定であることを楽しむのである。
中林の作品は熟読を誘う。読み飛ばすことが難しく、ついつい引き込まれるように丁寧に読んでしまう。そのような宙づり感があり、それが鑑賞者のネガティブケイパビリティを強く働かせるのである。詩の受容におけるネガティブケイパビリティの在り方について考えさせられる良い作品だった。