本詩集で、橋場は情景描写をしながら言葉遊びをしている。情景というシニフィエについて記述していくようでありながら、ところどころ言葉というシニフィアンが際立つような作品を書いている。このように、ことばのなす行為を微妙にずらしていくことにより、語りの水準が行ったり来たりしている。シニフィエについての語りからシニフィアンそのものの語りとの往還があり、それがことばの物質感の遷移として非常に面白い。
情景描写している透明な言葉が、言葉遊びにより突如物質感を帯びてくる。そのスリルこそがこの詩集の醍醐味であり、詩の技術の一つとして見習いたいと思った。