本作は、「きれいなものは汚い、汚いものはきれい」というテーゼを如実に示すものである。本作は、きわめて猥雑なようで端然としており、内閉しているようで開かれており、ミクロを追求しながらマクロに配慮している。こういった、相反するような評価を同時に受け付ける器の大きな詩集だと思う。詩の本質は両義性にあると思っているが、まさに詩の両義性を如実に示す詩集である。
ここには人間や社会や世界のありかたが示されている。人間や社会や世界はすべてにおいて両義的であり、あるいは多義的である。そのような両義性や多義性と真っ向から向き合うことによりこのような詩集が出来上がったのだと思う。その混沌と真正面から向き合おうとする態度に敬意を払わざるを得ない。
