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広田修の書評とエッセイ

中村梨々『言祝ぐ』(七月堂)

言祝ぐ

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 中村の作品は、とても清新な感覚に満ちていて、その感受性の喜びが善意として倫理的な色彩を帯びている。感性と倫理との接合をここまで明瞭に示している詩人も少ないと思う。感性は個人の次元の話、倫理は共同体の話、そう思いがちだが、倫理とは実は感性から生み出されるものだと思わされる一冊だ。

 中村は世界を愛し人を愛し、降ってくる物事の光のまぶしさに喜びを感じている。このように感受性の祝祭が起こっている場所で生じる倫理は極めて清潔で善意に満ちている。世界を鋭く感受するということと、世界を愛すること、善意を抱くことはすべて表裏一体になっていて、その作品世界がとても美しい倫理観で貫かれている。注目すべき詩集だ。