女子のおしゃべりが詩になってしまった。そういう驚くべき詩集だ。おしゃべりというと、「暇つぶし」「軽佻浮薄」「無駄」「空疎」というラベリングがされがちだが、このおしゃべりこそが実はその正反対の要素を含んでいることがよくわかる。おしゃべりは「熟読すべき」「深くて個性的」「細部に富む」「充実している」ものだということがこの詩集を読めばきっとわかるはずである。
そもそも詩はおしゃべりのようなものだった。飾り物、有用性のないもの、暇をつぶすもの。だが、そういった装飾にこそ深淵が宿るというのが詩というものの発見ではなかったか。もちろん、装飾を装飾として消費することも可能である。それはそれで楽しい。そういう楽しみ方も十分できる詩集である。