albatros blog

広田修の書評とエッセイ

うるし山千尋『ライトゲージ』(七月堂)

 透明な感性を備えた詩人である。余計な修飾を排し、風景や人物などに敏感に反応した気持ちを淡々と書いていく。詩の本来の在り方のような気がするが、このような原点回帰の作品を読むのも心地よい。冒頭の海岸に群れる不良の描写がとても良い。このように、何気ないような出来事でも新鮮に感じる透明な感受性というもの。これはすべての詩人が備えているもののように思える。

 私は詩の原点とはこのような純粋な感受性だと思っていて、その辺をついてこられるとどうしても高く評価せざるを得ない。というかとても好きである。詩の発端とは、このような感受性のひらめきであり、世界の輝きに純粋に心動かされるというところにあるのである。