歴史的事件の犯人を親類に持つ者の物語。有名な事件で有罪となり収監されたが出獄した人をおばに持つ主人公の何気ない日々。何気ない日常ではあるが、おばとの関係で随所に亀裂が入ってくるという秀逸なストーリーであり、読んでいてプロットづくりの巧みさにうならされた。
人間の日常は、決して平穏なばかりではない。そこには絶えず不穏さの影が忍び寄っているのであり、我々は常に不穏さの影とともに生きている。親類が病気になったりとかはよくある話で、そういう不穏さとともに私たちは日々を生きている。そういう不穏さを分かりやすい形で描き出したのが本作であろう。
