albatros blog

広田修の書評とエッセイ

ジョーン・エイキン『ルビーが詰まった脚』

 

 不思議な感覚を伴う物語だ。日本文学に慣れ親しんだものからすると、これこそエキゾチックな文学だと思うだろう。だが、ここにあるのは異国性というよりは話の性質によるエキゾチシズムなのだ。

 本作は、童話のようなつくりをしている。特に大きな起伏のあるドラマがあるわけでもないし、人生の本質へ迫っていくわけでもない。あくまでも子どもが読んで楽しむお話のようなものが書かれている。主なモチーフとしては奇妙な他者との出会いがある。これは子ども時代に子どもが多く接するテーマであり、また子供を不安にさせる一方子どもを楽しませるものであろう。そのような奇妙な他者との出会いによって、だからといって主人公が変わったり成長したりするわけでもない。ただ、世界にはこのような奇妙な他者がいて、気味が悪いけどワクワクするね、そんな感触を伝えてくるのだ。

 本書を読んで、いつも読んでいる種類とは異なるジャンルの作品を読んだ気がした。そのくらい話のつくりに特徴が感じられる。