albatros blog

広田修の書評とエッセイ

人生経験

 よく、詩を書くことで生きていくみたいなことを言っている人がいるんですが、その人たちはいったいどうやって生活しているのだろうと思いますね。まず仕事だろう。仕事でお金が稼げるようになってようやく詩集が出せるのだし、仕事や家庭を持つことによる人生経験が作品の厚みを生み出すのだろう、と私は思っている。まあ、詩は若者の文学とも思われている節があり、どんなに青臭くても許されるところはあるけれど、私はそういうものはもはや評価しないな。毎日生活のために汗水流して、社会の不条理を肌で感じ、家では妻との和を重んじ子を育てる、そういう人生経験の蓄積によってしか到達できない境地というものがある。そういう境地によって書かれた詩を読みたい。私は最近そう思っている。技術的な完成度よりも人生経験の深さと重さ。そういう詩を読みたい。