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広田修の書評とエッセイ

川口晴美『やわらかい檻』

 

やわらかい檻

やわらかい檻

  • 作者:川口 晴美
  • 出版社/メーカー: 書肆山田
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本
 

  本詩集のタイトルである「やわらかい檻」というのは、まず第一には少女の身体そのものを指すだろう。少女を閉じ込め、それでありながら周囲の世界と溶け合っているやわらかい身体。川口はこのやわらかい身体について執拗なほどの描写を行っている。そして第二には、少女を囲む家庭という場所。家庭は少女を閉じ込めるが、その質感はとてもやわらかい。少女はこの狭い世界から出ることはできないが、その分狭い世界に守られている。

 文体としては明澄な散文詩だと思う。飛躍などを上手に織り込みながら、強度を持たせて描写を丁寧に行っている。文体からはとてもクールな大人の視線が見て取れる。大人となった川口の冷めた視線によって、それでも熱っぽく少女時代が描かれていく。あたかも川口は少女というものを分析したり研究したりするかのようなまなざしで、その細部を追求していく。読み応えのある詩集だった。