文月はこの詩集で主に学校を舞台にしながら、みずからの女性性への意識などをテーマに詩を書いている。詩法としては技術的完成度が高く、テクストを編む手つきに熟練を感じる。だが思想性や生の深みが足りないのは若さゆえ仕方のないことであろう。この詩集はすごく張りつめていて、そこに年若い女性のある種の全体的な緊張を感じ取ることができる。
詩の源泉となっているのは主に学校生活であり、人生を丁寧に生きながらそこに詩の鉱脈を探っていくという態度に好感が持てる。まず自らの生きている人生こそが詩の源泉であるのは間違いない。記述も繊細で確かなものであり、自らの生を見つめ、それを詩化していくてつきに詩の自然な流露が見られる。
これから次々と人生の異なったステージへと著者は向かっていくはずである。その時々のステージにより描かれる風景も異なってくるであろう。また、著者の思想の深まりによってもさらに作品が進化していくであろう。将来が期待される。