albatros blog

広田修の書評とエッセイ

家庭について

 私は既婚者であり、妻と二人の家庭を持っている。結婚して同棲を始めたのが昨年であるが、いざ家庭を持ってみるといろんな意味で自分の生活が変わってきたことに気づく。
 まず、独身のとき、私は週に一回片道2時間かけて実家に帰っていた。そうしないと心が落ち着かないのだった。それが、家庭を持ってからは実家に帰る必要がなくなった。こちらのアパートこそが家庭なのであり、もはや実家に家庭を求める必要がなくなったのだ。
 また、独身のとき、私は生活時間が極端な朝型だった。毎日仕事が終わるとすぐに寝て、朝の2時や3時に起床するという日々が普通だった。それが、妻の正常な生活時間に合わせて生活することにより、まだ幾分朝型ではあるが、夜の9時に寝て朝の5時に起きるという正常な生活時間に直った。
 そして、家庭を持ってから健康状態が良くなった。私は腸にガスがたまりやすい体質だったが、それもほとんど症状が改善し、また仕事でも疲れにくくなった。妻が食事を作ってくれるということもあるが、何より心の安定ゆえだろう。
 そう、そして一番は精神状態が非常に安定した。前は仕事で嫌なことがあるといつまでも引きずったりしたものだが、今は家で妻と語らっていると嫌なことも自然と消えていく。孤独でいくぶん絶望しやすく激しやすい状態が、非常に穏やかで寛容な気持ちになった。
 家庭は何よりも居場所であり帰巣本能の向かうところの巣である。そこにいれば心は安定し、安らぎを得ることができる。その家庭を妻との二人の愛で作り上げたということ。結婚というものはやはり素晴らしいと思う。私はもはや孤独に飢えた狼ではない。愛に満たされた羊である。愛とは何よりも血のつながりであり一種の血縁であろう。愛という血縁により出来上がる家庭、これは自らの巣に他ならない。